カナダ、世界的な石油ブームで予想外の勝者となる

カナダの石油生産量が急増しています。生産者たちは、拡大された市場アクセスとカナダ重質原油のアメリカ基準に対するディスカウントの縮小を背景に、プロジェクトや抽出を拡大しています。

長年の遅延を経てついに完成し稼働を始めたトランスマウンテン拡張プロジェクトは、アルバータ州の石油サンド生産者の運命を変え、アジアや米国西海岸の市場へのアクセスを提供しています。

長年の出口不足に苦しんできたカナダの石油は、今では1日当たり約60万バレルの追加市場アクセスを持つようになりました。拡張されたトランスマウンテンパイプラインは、アルバータ州の石油サンドから太平洋岸のブリティッシュコロンビア州まで原油を運ぶオリジナルパイプラインの容量を3倍に増やし、30万バレルから89万バレルにしました。

そして、生産者たちはこの機会を利用しています。昨年末、トランスマウンテン拡張（TMX）の稼働開始を見越して生産拡大を始めました。カナダの石油会社は、最近数週間でカナダ重質原油の基準である「ウェスタンカナダセレクト（WCS）」のアメリカの基準である「ウェストテキサスインターミディエート（WTI）」に対するディスカウントが縮小していることで、より高い利益を得ることができます。

さらに、石油サンドにおける生産増加は、既存のインフラストラクチャーとのプロジェクトの拡張によるものであり、この種の原油抽出には非常に高い資本支出がかかるため、ゼロからプロジェクトを立ち上げるよりも低く抑えられています。

トランスマウンテン拡張によるカナダの石油サンド生産量の増加は、今年の成長する世界的な供給において、米国、ガイアナ、ブラジルと並ぶOPEC+外の主要な貢献者のひとつとして、カナダを位置づけています。

一部のアナリストは、カナダが米国やガイアナよりも大きな油供給増加源となる可能性があるとさえ予測しています。

「予期せぬ事態がない限り、2024年にはカナダが世界中で最も油供給を大幅に増やす可能性があります」と、TD Economicsの経済学者であるマーク・エルコラオは、今年初めに報告書で述べています。

今年、カナダの生産増加は1日30万バレルから50万バレルになる可能性があり、「国を世界的な油供給増加の主要な源にする可能性がある」とエルコラオは述べています。

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予測者や機関からの異なる予測に基づくグローバルな油供給増加の見積もりは異なりますが、この経済学者によると、カナダの石油は2024年における増分供給量の25%から67%を占める可能性があります。

「カナダは、高い油価や西部の油を国際市場に運ぶ能力を前進させながら、我々の石油に支払われる価格の上昇を利用できるはずです」と、エルコラオは付け加えました。

出口増加、価格上昇

トランスマウンテン拡張はカナダ重質原油の価格を長期間引き上げることになると、主要エネルギー企業のトップエグゼクティブが述べています。

2023年、WCSはWTIよりも1バレルあたり平均で17.90米ドル安く評価されていました。2024年初めには、このディスカウントが18.50米ドルまで広がりましたが、2024年4月初めにはTMXが稼働する直前に13米ドル未満に縮小していました。カナダエネルギー規制庁（CER）のデータが示しています。

アルバータでは、原油生産が増加しており、2023年12月には記録的な4,530万バレル/日を記録しました。CERは先月、TMXが西カナダ原油の総輸出パイプライン容量を13%増加させ、輸出パイプラインの容量制約を和らげるのに役立つと指摘しています。

拡張されたトランスマウンテンパイプラインの容量全体は、カナダの重質原油輸送業者が利用できる総パイプライン輸出容量の17%を表すとCERは述べています。

カナダ最大手石油生産会社は、今年の第1四半期の収益については賛否両論ありましたが、すべての企業はTMXがカナダの油価を上昇させ、業界にとって将来的に極めて重要な資産になると期待しています。

シーノバスエナジーの執行副社長兼最高商業責任者であるドリュー・ジーグルガンスバーガーは、「業界やカナダを代表して、私たちにとって別の素晴らしい資産が利用可能になることを、我々は非常に興奮しています」と述べています。

石油サンド企業、米国のシェール産業を上回る

投資家たちは、産業に戻った楽観主義とカナダの生産者が始めた株主に対するより高いリターンを歓迎しています。

カナダの4大石油サンド生産者は、過去12か月で株価が37%上昇しましたが、米国最大の石油・ガス企業の指数はこの平均の上昇率を19ポイント下回る結果になりました。

石油サンドプロジェクトは資本投資がより多くかかり、スタートアップまで数年かかりますが、米国のシェール形成とは異なり、長年から数十年にわたって原油をポンピングできます。

「石油サンドの生産は高コストですが、資源には不足がありません」と、ジャーナルに述べたウェルズファーゴの株式アナリスト、ロジャー・リードは述べています。

カナダの生産者にとって、少なくとも近中期には情勢は好転しています。企業は株主に利益を還元し始めています。

たとえば、カナディアン・ナチュラル・リソーシズは、先月の第1四半期の収益発表で、「2024年からは、私たちはフリーキャッシュフローの100%を株主に還元し、フリーキャッシュフロー割り当てポリシーに従って、将来を見据えた年間ベースでの割り当てを続けていく」と述べています。

Oilprice.comのツヴェタナ・パラスコヴァによる
　（翻訳：WTEボット)

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